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【紹介×感想】『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』

ポスター/スチール写真 A4 パターン5 IT/イット それが見えたら、終わり。光沢プリント

 

こんにちは、ノリスケです。

 

遅ればせながら、スティーブン・キング原作「IT」の二度目の映像化である『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を見てきました。

 

今回は、本作の紹介と感想の記事になります。

 

北米での累計興行収入が3億2,674万ドルに達し、M・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』が稼いだ2億9,350万ドルを上回り、事実上のホラー映画No.1の大ヒットを記録したことでも、話題になっています。

 

はてさて、その実力のほどはいかがなものでしょうか。

 

 

 ※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。

 

基本情報

製作年:2017年
上映時間:135分
ジャンル:ホラー
監督:アンドレス・ムシェッティ
キャスト:ジェイデン・リーベラー、ビル・スカルスガルド、フィン・ウルフハード、ソフィア・リリス、ニコラス・ハミルトン、他


概要

スティーブン・キングの代表作の1つで、1990年にはテレビドラマ化された「IT」を、「MAMA」で注目を集めた新鋭アンドレス・ムシェッティのメガホンにより映画化。静かな田舎町で児童失踪事件が相次いで起きていた。内気な少年ビルの弟が、ある大雨の日に外出し、おびただしい血痕を残して姿を消した。自分を責め、悲しみにくれるビルの前に現れた「それ」を目撃して以来、ビルは「それ」の恐怖にとり憑かれてしまう。不良少年たちからイジメの標的にされている子どもたちも、自分の部屋、学校、町の中など何かに恐怖を感じるたびに「それ」に遭遇していた。「それ」の秘密を共有することとなったビルと仲間たちは、勇気を振り絞り、「それ」と立ち向かうことを決意するが……。

(映画.comより)

 

予告編


映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』予告編【HD】2017年11月3日(祝・金)公開

 

ノリスケの評価

100点満点中 70点

全体:★★★☆☆

脚本:★★★☆☆

映像技術:★★★★☆

音楽:★★★★☆

演出:★★★☆☆

編集:★★★☆☆

何度も見たいと思うか:思わない

 

一言で言うとどんな映画なの?

 

本作は、アメリカの田舎町で起こる児童誘拐事件を下敷きに、殺人ピエロ「ペニーワイズ」と子供たちの攻防を描いたホラー映画です。

 

スティーブン・キングの名作小説「IT」が原作であり、1990年にはテレビドラマ化がされています。

 

テレビドラマを再編集した映画(DVD)の感想記事はこちら↓

www.norirog.com

 

敵方であるペニーワイズは、子供にしか見えないピエロであり、町の子供たちを次々に誘拐していきます。大人に助けを求めることができないため、数人の子供たちが立ち上がり、ペニーワイズを倒そうとする物語です。

 

どういう人にオススメか?

ホラー映画が好きな方はもちろん、あまりホラー映画を観ない方にもオススメできる映画です。

 

子供の誘拐と殺人という、比較的重い内容を扱っているのですが、子供たちが知恵を絞って敵に挑むという展開は、冒険アドベンチャー的要素を内包しています。

 

ただし、グロいシーンがそれなりにありますので、子供だけの視聴はあまりお勧めしません。どちらかというと、中高生~20代の若者が、カップルや友達同士で見に行くタイプの映画だと思います

 

どんなところが高評価?

子供たちを主役にすることで、観客層が広くなった!

本作は、アメリカの田舎町に住む少年少女が主役を務めるホラー映画です。

 

日本で言うところの「学校の怪談」に近いものがあり、少年少女たちが自らの力で怪奇現象(ペニーワイズ)に立ち向かう姿が描かれます。

 

子供たちを主役に据え、冒険活劇的要素を取り入れることにより、ホラー映画をあまり見ることがないノーマルな若者でも入り込みやすい内容になっていると思います。

 

対象の観客層が広くなったことが、ホラー映画No.1ヒットにつながったのではないでしょうか。

 

潤沢な予算で製作されたホラー映画

ホラー映画と言うと、低予算のB級映画のイメージを持たれる方が多いと思いますが、本作は3,500万ドルという潤沢な予算で製作されています。

 

テレビ版と大きく異なる点が、この豊富な予算を使用した特殊効果の数々です。

 

テレビ版は如何にも低予算のホラー映画という内容だったのですが、本作では、過去にはできなかったCGを使用した描写が多用されています。

※もちろん、テレビ版の低予算感が好きだという意見もありますが。

 

特に、ペニーワイズの描写にはかなりのCGが使用されていると思います。テレビ版とはまた違った表現になっているので、過去にテレビ版を見たことがある方も、新鮮な気持ちで楽しめると思います。

 

 

さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

 

北米で事実上のホラー映画No.1の大ヒットを記録したという情報を受け、かなり期待して劇場に向かいました。

 

結論から申し上げると、予想を超えることはなく、ホラー映画としては平凡な部類に入るのかなと思いました。

 

そして、致命的であるのが、「本作からは怖さが伝わってこない」ということです。

 

観終わってから、初めに浮かんだ感想が、ソフィア・リリス演じるヒロインが、やけに可愛かったというものでした。

 

ホラー映画というよりも、お化け屋敷のような映画

上述したように、本作からは「恐怖」が伝わってきませんでした。

 

ペニーワイズには、「子供が最も恐怖する者の姿で現れる」という設定があり、様々な姿でビルたちの前に現れます。観客を恐怖させるシーンでもあるのですが、「相手を怖がらせよう」という製作者の意図がどことなく伝わってきてしまい、こちらとしては何か物足りなく感じてしまいました。

 

CGなどを多用し、ペニーワイズの登場シーンを工夫したりしているのですが、受け手としては驚きはすれども、怖くは感じません。

 

全編を通して、観客を驚かせようとするお化け屋敷のような映画だなぁと感じました。特にも、井戸がある屋敷のシーンはその印象が顕著で、ディズニーランドの「ホーンテッドマンション」のアトラクションを思い出しました。

 

ホラー映画よりもアドベンチャー要素が先に立っているような印象を受けますので、コアなホラー映画ファンには受け入れられないように思います。

 

よく言えば王道のストーリー、悪く言えば新しい要素はない

テレビ版の「IT」は、大人になったマイケルがかつての友人に「ITが帰ってきた」と電話をかけ、それまで忘れていたITとの戦いの記憶を皆が思い出す、というものがストーリーの大筋でした。

 

「皆をそれまで恐怖させるITとは何なのか?」、「かつての仲間が交わした約束とは?」、「仲間たちはどのような経緯でITと対決したのか?」という疑問によって、先が気になる作品になっていました。

 

本作は、主要な登場人物の少年時代から物語が開始するため、テレビ版よりも、青春要素に重きを置いている印象があります。

しかし、テレビ版よりも一部の登場人物の描写が浅くなり、ビルとベバリーのみにスポットが当たっているのが気になりました。

これまで、『IT』には子供たち全員が主人公の群像劇というイメージがあったのですが、本作はビルが主役であり、ベバリーがヒロインという構図がしっくりきます。

 

また、子供たち中心の冒険活劇的ストーリーは王道ではあるのですが、悪く言えば目新しさはなく、平凡な展開になっています

 

例えば終盤、ITとの対決について決裂したビルとその仲間たちですが、ベバリーがITにさらわれたことにより、協力して彼女を助けに向かいます。

仲間を助けるために皆が一致団結する、というものは王道中の王道なのですが、そこはもう少し捻ってほしかったですね。

 

とにかくソフィア・リリスが可愛い

ルーザーズの紅一点、ベバリーを演じたソフィア・リリスが可愛いです。それ以外の良い感想はありません(笑)。

 

こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、ITの怖さなどよりも、ソフィア・リリスの可愛さの方が100倍印象に残ります

 

何でしょう、この、今にも花開かんとする蕾的な可愛さというか…。

(念のため言っておきますが、私はロリコンではないですよ!)

 

もちろんエロさなどはないのですが、同世代の子供たちから見て大人びて見えるのが彼女の魅力なのでしょう。(それによって、女子からはいじめを受けているようですが。)

 

まだ15歳ということで、映画への出演回数が少ないソフィア・リリスですが、『IT』への出演により、一気に知名度が上がったものと思います。

 

今後、活躍の場が広がっていくことに期待しています。

 

まとめ

 

世界的なヒットを飛ばしていることから、期待して見に行きましたが、ホラー映画ファンとしては物足りない内容であるということが正直な感想です。

 

一方で、わかりやすく王道的なストーリー、子供を主役に据えた冒険物という要素によって、普段はホラー映画を観ない客層をとらえることができ、世界的なヒットにつながったのではと考えています。

 

よく言えば一般ウケする映画で、悪く言えば映画ファンからは評価されない映画になるのでしょう。

 

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【紹介×感想】英国で最も有名な囚人を描く『ブロンソン』

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こんにちは、ノリスケです。

 

今回は、イギリスで最も有名な囚人と言われているチャールズ・ブロンソン(本名:マイケル・ピーターソン)の凄まじい生き様を描いた映画『ブロンソンを紹介します。

 

 

監督は『ドライヴ』で一躍有名になったデンマークの鬼才ニコラス・ウィンディング・レフンです。主演は、『ダークナイト ライジング』、『マッドマックス 怒りのデスロード』で知られるトム・ハーディ

 

日本では、劇場未公開の作品でしたが、レフン監督の『ドライヴ』のヒットにより、2012年にDVDが発売されました。

 

圧倒的に日本人に知られていない映画になりますので、本作を観ようとする方のほとんどは、まず間違いなくレフン監督またはトム・ハーディのファンでしょう

(かく言う私も、『ドライヴ』からレフン監督を知った口ですので。)

 

レフン監督作、トム・ハーディ主演作が気になっている人にとって、本作は見るべき作品なのか?というところに着目していきたいと思います。

 

 ※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。

 

基本情報

製作年:2008年
上映時間:92分
ジャンル:サスペンス、ドラマ
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
キャスト:トム・ハーディ、ジェームズ・ランス、マット・キング、アマンダ・バートン、リング・アンドリューズ


概要

「ドライヴ」の鬼才ニコラス・ウィンディング・レフンが2008年に手がけた異色のクライムドラマ。「ダークナイト ライジング」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のトム・ハーディを主演に迎え、イギリスで最も有名な犯罪者といわれるマイケル・ピーターソンの半生を、ブラックユーモアを散りばめながら独自のタッチで描いた。1974年、19歳のマイケルは有名になるため、自作した散弾銃で郵便局を襲撃する。すぐに逮捕されたマイケルは7年間の服役を言い渡されるが、刑務所でも理由なき暴力を繰り返し、26年後にようやく出所を許される。かつての刑務所仲間の紹介で地下ボクシングの世界に飛び込んだマイケルは、「チャールズ・ブロンソン」のリングネームで活動を開始するが……。

映画.comより

 

予告編


映画『ブロンソン』予告編

 

ノリスケの評価

100点満点中 70点

全体:★★★★☆

脚本:★★★☆☆

映像技術:★★★★☆

音楽:★★★★☆

演出:★★★★★

編集:★★★★☆

何度も見たいと思うか:思わない

 

一言で言うとどんな映画なの?

本作は、イギリスで最も有名な囚人チャールズ・ブロンソン(本名:マイケル・ピーターソン)の半生を描いた伝記映画です。

 

サスペンス映画、犯罪映画の要素は少なく、ひたすらに語り役兼主人公であるブロンソンの暴力にあふれた人生を描いています。

 

どういう人にオススメか?

初めに書いたように、本作を手に取る方のほとんどは、レフン監督作品に興味を持っている方、またはトム・ハーディのファンの方だと思います。

 

知名度が恐ろしく低い映画なので、「ニコラス・ウィンディング・レフン」または「トム・ハーディ」のWikipediaからその存在を知る方がほとんどでしょう。

 

そのような方々にとって、本作は見るべき映画なのか?と問うならば、間違いなく見るべき映画であると思います。

 

逆に言えば、レフン監督、トム・ハーディに興味がない方に対しては、あまりお勧めできる映画ではありません。

 

どんなところが高評価?

レフン監督ワールド全開

レフン監督作品を一度でも見たことがある方ならば、その独特の画面の美しさを既にご存知のものと思います。

本作にも、如何にもレフン監督らしい色使いや演出が多数見られます

 

また、凄惨な暴力描写が多用されている点も、レフン作品の特徴の一つであると言えるでしょう。 

 

トム・ハーディの怪演

主役であるブロンソンを演じるトム・ハーディの演技が凄まじ過ぎます。

 

ブロンソンは、有名になりたいが方法がわからなかった故に犯罪を犯し、刑務所に収監されます。そして、彼は刑務所で理由なき暴力を繰り返し、刑務官と血で血を洗う争いを繰り広げます。

 

トム・ハーディブロンソンの持つ常軌を逸した人間性を巧みに演じており、まさに「怪演」という言葉に相応しい素晴らしい演技を見せてくれます

 

彼は、このブロンソンの演技によって、『ダークナイト ライジング』のベイン役を獲得したという説がありますが、ブロンソンに比べると、ベインは実に分かりやすく、可愛い悪党のように思えます。

 

それほどまでに、ブロンソンのキャラクターは強烈で、単なる悪役とは言い切れない怪しい魅力を持っています

 

 

さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

 

一度見た後の感想は、レフン監督の『オンリーゴッド』と同じく、「なんだかよくわからない映画だな」というものでした。

 

ストーリーに盛り上がりがない

伝記映画なので仕方がないのかもしれませんが、本作にはストーリー上の盛り上がりがありません。ブロンソンが地下ボクシングの活動を開始するところが一応のピークなのかもしれませんが、刑務所内の凄惨な暴力の数々がそれ以上に印象深いため、ストーリーに起伏がありません。

 

サスペンス要素も少なかったため、中盤は少し退屈に感じてしまいました。

 

ブロンソンの一人語り形式

常軌を逸した人間であるブロンソンの物語であるため、感情移入は困難を極めます。そこを補うように、本作はブロンソンの一人語りの形式でストーリーが展開していきます。

 

面白いのは、劇場形式で、ブロンソンが観客に対して自分の半生を語るという演出を取っているところです。この演出は後半になるにつれて少なくなってしまいました。できれば全編通して盛り込んでほしかったです。

 

あまりにも常軌を逸した行動をとっているブロンソンですが、自らが自己の内面を語っていくことにより、視聴者は彼の内面を少なからず知ることができるだと思います。

(それでも、彼の行動には理解不能の点が多いですが)

 

まとめ

実にレフン監督らしい作品であり、娯楽要素は皆無であるように感じました。「面白い」というタイプの映画ではありませんが、レフン監督のファンまたはトム・ハーディのファンは間違いなく見る価値のある映画だと思います。

 

 

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【紹介×感想】『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

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こんにちは、ノリスケです。

 

カッコいいライアン・ゴズリングが見たい方、今回紹介する「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」を観ましょう(笑)

 

この作品は、『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス監督と、ライアン・ゴズリングが二度目のタッグを組んだサスペンス×ドラマ映画です。

 

ゴズリングのほかにも、ブラッドリー・クーパーエヴァ・メンデスレイ・リオッタなどの豪華キャストが出演します。

 

今回は、本作の紹介と感想の記事になりますので、まだ見たことがない方は、参考にしていただければと思います。

 

 ※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。

 

基本情報

製作年:2012年
上映時間:141分
ジャンル:サスペンス、ドラマ
監督:デレク・シアンフランス
キャスト:ライアン・ゴズリングブラッドリー・クーパーデイン・デハーンエヴァ・メンデスレイ・リオッタベン・メンデルソーン、ほか


概要

ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランス監督&主演ライアン・ゴズリングが再タッグを組み、親の罪が子にも受け継がれるという血の因果を描いたクライムドラマ。かつての恋人ロミーナと再会したルークは、息子ジェイソンが産まれていたことを知り、2人を養うため銀行強盗に手を染める。新米警察官のエイヴリーは、ルークを追いつめるがあるミスを犯し、罪悪感を抱える。しかし、周囲からは評価され複雑な気持ちを胸に、警察の腐敗に立ち向かう。15年後、成長したジェイソンはルークとエイヴリーそれぞれの秘密を知ってしまい、その怒りの矛先は親しくしていたエイヴリーの息子AJへ向けられる。共演にエバ・メンデス、ブラッドリー・クーパー

(映画.comより)

 

予告編


映画『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』予告編

 

 

ノリスケの評価

100点満点中 80点

全体:★★★★★

脚本:★★★★☆

映像技術:★★☆☆☆

音楽:★★★☆☆

演出:★★★★☆

編集:★★★★☆

何度も見たいと思うか:思う

 

一言で言うとどんな映画なの?

本作の大きな特徴は、2組の父と子の物語を、3部構成で描いていることです。途中で主人公が交代するとともに、作中で15年の月日が経過します。

 

簡単にまとめると、下記のような流れで本編が進行します。

 

第一部:ルーク(ライアン・ゴズリング)が主人公のストーリー

第二部:エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)が主人公のストーリー

第三部:ジェイソン(デイン・デハーン)が主人公のストーリー

 

 

境遇が全く異なる2組の親子を通して、親同士に起こった出来事が子供たちに受け継がれる様子が描かれます。

 

どういう人にオススメか?

 

人生や生き方を描いていることから、人間ドラマに近い内容の映画ではありますが、サスペンス要素も豊富です。

(特に、第二部のエイヴリー編はドキドキハラハラしてしまう展開が多いです。)

 

サスペンス映画が好きな方に、好まれる映画かと思います。

 

また、内容はシリアスかつ重厚なので、友達や恋人と見るような映画ではないですね。夜に1人、しんみりと見るタイプの映画のように思います。

 

どんなところが高評価?

三部構成で描かれる重厚なストーリー

上述したように、本作の大きな特徴は、主人公が途中で交代する3部構成で描かれていることです。

 

その分、上映時間も141分と長めなのですが、1つのストーリーの長さは40~50分程度になるので、途中でダレることがありません。

 

かと言って、1つのストーリーに話を詰め込んでいるわけでもなく、非常に丁度いいバランスになっています。

 

無駄なシーンが一切ない映画には良作が多いのですが、本作もそのタイプの映画と言えるでしょう。

 

豪華俳優陣の素晴らしさ

まずもって、主演のライアン・ゴズリングがめちゃくちゃカッコいいです。

 

今作の彼は、凄腕のバイク乗りにも関わらず、子供のために銀行強盗を行う主人公を演じています。

凄腕のドライバーを演じた『ドライヴ』とイメージが被る方がいらっしゃるかもしれませんが、彼の演じるルークは、『ドライヴ』のドライバーとは全く異なる主人公になっています。

 

 

凄腕のライダーでありながら、子供のために慣れない犯罪に手を染めるという、不器用でまっすぐなキャラクターとして描かれていて、そこが非常に魅力的です。

 

そして、今作に(も)悪役で登場するレイ・リオッタ

悪役を演じさせたら間違いないリオッタさんなので、今回彼が演じるキャラクターにも上手くハマっています。

まさしく期待通り(?)の演技と言うか…(笑) レイ・リオッタファンには是非見ていただきたいですね。

 

 

 

さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想

実はこの作品、一度目は劇場で、二度目はHuluで観ています。

 

一度目は、あまりにもあっさりルークが死んだところでただただ驚きましたね。てっきり、ルークが主人公のまま、ストーリーが進行すると思っていたので。

 

二度目を自宅で観て、いろいろと自分の中で整理ができたので、感想を書いてみたいと思います。

 

不器用なルークの姿に男泣き必死!

もう、なんでしょうね。自分がルークと同世代の男性だからかもしれませんが、ルーク編は男泣きしっぱなしでした。

特に、「教会での洗礼のシーン」や「アイスのくだり」、「コフィを殴った」ところですね。

 

ルークは決して悪い人間ではないんですが、不器用で真っすぐな性格故に、物事をうまく運ぶことができないのだと思いました。

 

子供の父親になりたいと思って、街に残ったところとか、金を得るために銀行強盗に手を染めるところとか、彼は自分に正直に生きているのですが、結果的に、それが彼自身を殺し、ロミーナを苦しめることになりました。

 

ライアン・ゴズリングがハンサムであることがさらに悲壮感を盛り立て、人生の「上手くいかない」様子が、観る者に重くのしかかってくるのだと思います。

 

不器用な父子と器用な父子の対比

キャラクターの特徴を出すために、対になるキャラクターを登場させる手法がありますが、本作には不器用な一家と器用な一家の対比構造が取り入れらているように感じました。

 

不器用な父子とは、ルーク、ジェイソン親子で、器用な父子とは、エイヴリー、AJ親子を指します。

 

エイヴリーは、ピンチをチャンスに変えてのし上がっていくタイプの野心家で、人々に称賛される正義感の持ち主ですが、自分の身を守るためには、平然と嘘をつくという狡猾さも持ち合わせています。

 

AJは、父親の立場を利用して人間関係を構築し、ジェイソンを薬供給のための手駒にしようとします。

 

 

一方、ジェイソンは、実の父親への好奇心から、父親の死の真相を知ってしまい、誰にも告げずに街を出て行ってしまいます。

 

特に、ジェイソンとAJは、共通項と対立項を持ち合わせている面白いキャラクターだと感じました。

例えば、以下のような点が挙げられます。

 

(共通)

・二人とも父親を求めている。

ジェイソンはルークのことを知りたいと思い、AJはエイヴリーの気を引こうとしている。

 

(対比)

・世渡りのうまさ

ジェイソンは如何にも不器用と言う感じ。一方、AJは父親の立場を利用してしたたかに生きている。

 

・父親からの影響

ジェイソンはバイクに乗って街を出てゆく。(ルークからの影響を強く感じる)

AJは司法長官に当選したエイヴリーに対して、特に喜びの感情はない。

 

結果的に、死んでしまった父親が子供に強い影響を与える一方、子供のことを思って出世する親は、子供とどんどん離れていってしまいました。

 

2組の親子の境遇を対比させることによって、物語全体の重みを増しているところが非常に良いと思います。

 

まとめ

理屈とか関係なく、「血は争えない」、「死んだ親が、残された子供に影響を与える」ということをシリアスかつ重厚に描いた作品だと思います。

 

特に、子供の誕生によって町に留まったルークが死んでしまい、ルークの死の真相をしったジェイソンが町を出ていくという流れが良いですね。如何にも「血は争えない」という感じで。

 

こういうシリアスな作品は個人的に非常に好みなので、機会があればデレク・シアンフランス監督の他作品についても感想を書きたいと思います。

 

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【紹介×感想】ノワール風学園サスペンス『BRICK』

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ライアン・ジョンソン監督、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演のサスペンス映画『BRICK』。今回は、本作の紹介と感想の記事になります。

 

本作は、ライアン・ジョンソン監督にとって初の長編映画だったのですが、サンダンス映画祭を始め、非常に多くの映画賞にノミネートされました

 

ライアン・ジョンソン監督と言えば、スター・ウォーズシリーズのエピソード8『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の監督に抜擢されたことでも有名です。

まさに、これからの活躍が期待される映画監督の1人と言えるでしょう。

 

今回は、彼の原点とも言える『BRICK』について書いていきたいと思います。

※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。

 

基本情報

公開年:2005年(米)
上映時間:110分
ジャンル:ミステリー
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン

音楽: ネイサン・ジョンソン
キャスト:ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、ノラ・ゼヘットナー、ルーカス・ハース、ノア・フレイス、マット・オリアリー、エミリー・デ・レイビン、ノア・セガン、他


概要

カリフォルニアの高校を舞台に、元恋人の謎の死の真相を探る青年の姿をスリリングに描いたミステリー。サンクレメンテ高校に通うブレンダンは、学校の排水溝の近くで元恋人エミリーの遺体を発見する。事件前、エミリーの不可解な行動を不審に思っていた彼は、真相を突き止めようと調査を始めるが……。1930年代アメリカの探偵小説のスタイルを引用した斬新な語り口が注目を浴び、サンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞した。

(映画.comより)

 

予告編


Brick - Trailer

 

ノリスケの評価

全体:★★★★☆

脚本:★★★★☆

映像技術:★★★★☆

音楽:★★☆☆☆

演出:★★★★☆

編集:★★★★☆

 

一言で言うとどんな映画なの?

本作は、「恋人の死の真相を暴こうとする主人公の姿を描いた映画」になります。

 

主人公を探偵役に据えたミステリーと言えますが、ノワール映画のような「暗くて静かな映像」と、「展開の速さ」が特徴的です。

 

どういう人にオススメか?

シリアスなミステリーが好きな方、ノワール映画が好きな方にオススメできる映画です。

 

ノワール映画的な暗い展開が続くため、恋人同士、友達同士でワイワイ見る映画ではないですね。

夜な夜な一人で見ることをお勧めします。

 

どんなところが高評価?

ノワール映画的な独特の世界観

 

本作の最も大きな特徴は、ノワール映画のように「暗くて陰鬱な世界観」で統一されていることです。

 

例えば、主人公であるブレンダンはアメリカの田舎の高校に通っているのですが、学校そのもの雰囲気がとても暗く、生徒がワイワイ勉学に励んでいるような学校のイメージとはおよそかけ離れたものとして描かれています。

 

まず、授業のシーンがありませんし、生徒が遊んでいるシーンもあまりありません。

一般生徒が登場するシーンも少なく、学校自体に人気(ひとけ)がありません。

 

その他、ごく一部の街のシーンなどにも主要登場人物以外の人々が現れることはありません。

 

このような陰鬱な世界観が、孤独な主人公とマッチし、ストーリーをより一層魅力的なものにしていると思います。

 

スリリングでスピーディーな展開

本作では、探偵役であるブレンダンが、恋人の残した複数のキーワードをもとに、彼女の死の真相を探っていきます。

 

彼は、自分の身を餌をしたり、わざと相手を泳がせたり、薬の売人に近づいたり、様々な方法でエミリーの死に関与した人々に接触していきます。

 

これらが非常にスピーディーかつスリリングに展開していくため、視聴側は全く飽きることなく、物語に入り込んでしまいます。むしろ、少しでもぼーっとしていると、大事なセリフを聞き逃してしまいますので、一時たりとも気を緩めるべきではないでしょう。

 

一人でじっくり、主人公の目線でアレコレと考えながら視聴する。本作はそのように見たほうが面白い映画だと思います。

 

 

 

 

さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

感想

 

ノワール世界に現れるシリアスな笑い

紹介部分で書いたように、本作は高校生たちの会話をノワール映画的に描写しています。物語もシリアス一辺倒なのですが、時折、笑い要素が含まれていたように思います。

 

例えば、以下のようなシーンと要素が挙げられます。

 

・薬の売人ピンの部屋の前に用心棒(?)と思われる男たちが何人も立っている。

・ピンは母親と一緒に暮らしており、母親がみんなにジュースを出してくれる。

・ピンの側近であるタグは、見るからに頭が悪くキレ易そうである。

・車の窓ガラスと割ろうとするブレンダンに向かって、タグが走ってくるシーン。

 

全編がシリアスであればあるほど、これらのシーンが滑稽に見えるように思いました。

 

登場人物の名前が覚えられない

本作では、エミリーの残した「ピン」、「ブリック」、「タグ」という言葉を元に、主人公のブレンダンが薬の売買グループに接近していきます。

 

「ピン」と「タグ」という言葉や、登場人物である「ローラ」、「カーラ」の名前が似ていることから、どれが誰の名前なのかがわからなくなってしまいました。

 

「ピン」と「タグ」は登場シーンが多いので何とかなりましたが、「ローラ」と「カーラ」は本当に混乱しました。途中でメモを取りながら見るべきだったかもしれません。

 

せめて、もう少し違いのある名前にしてもらいたかったですね。

 

まとめ

本作は、ノワール映画的な世界観と主人公の孤独感がマッチしていて、低予算でありながらも非常に見ごたえのあるミステリーに仕上がっていると感じました。

 

ライアン・ジョンソン監督の作品は、『ルーパー』しか見たことがなかったのですが、『BRICK』によって私の中で彼の評価が覆りましたね。

 

ただ、サスペンス色の強い作品ばかりを手掛けている彼が、スター・ウォーズをどのように仕上がげるのかが少し不安でもあります。

 

彼の今後の活躍に期待して、機会があれば『ルーパー』を見直してみたいと思います。

 

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【紹介×感想】青年と少女の支えあいの物語『ハーフネルソン』

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ラ・ラ・ランド」、「ブレードランナー 2049」のライアン・ゴズリングがアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品『ハーフネルソン

 

ラ・ラ・ランド」の影響で、ゴズリングの知名度が日本でも上がったことにより、アメリカでの劇場公開から11年が経った2017年、日本でようやく公開されることになりました。

 

今回は、ゴズリングファン必見の『ハーフネルソン」の紹介と感想の記事になります。

※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。

 

基本情報

公開年:2006年(米)
上映時間:106分
ジャンル:ドラマ
監督:ライアン・フレック
脚本:ライアン・フレック、アンナ・ボーデン

音楽:ブロークン・ソシアル・シーン
キャスト:ライアン・ゴズリング、シャリーカ・エップス、ステファニー・バスト、セバスチャン・ソッツィ、ティナ・ホルムズ、デニス・オヘア、アンソニー・マッキー


概要

ライアン・ゴズリングが心に闇を抱える歴史教師役を繊細に演じ、第79回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた人間ドラマ。ニューヨーク、ブルックリンの中学校で歴史を教えている教師ダンは、型破りな授業で生徒たちから人気を集めている。しかし私生活では、ドラッグ中毒から抜け出せず苦悩する日々を送っていた。ある日、ダンはドラッグを使用しているところを教え子の少女ドレイに見られてしまう。それ以来、ダンとドレイの間には不思議な友情が芽生えはじめる。共演に「愛する人」のシャリーカ・エップス、「キャプテン・アメリカ」シリーズのアンソニー・マッキー。監督は「ワイルド・ギャンブル」のライアン・フレック。「彩プロ30周年記念特集上映」(新宿K's cinema)にて日本初上映。

(映画.comより)

 

予告編


映画『ハーフネルソン』予告編

 

ノリスケの評価

全体:★★★★☆

脚本:★★★★☆

映像技術:★★★☆☆

音楽:★★☆☆☆

演出:★★★☆☆

編集:★★★☆☆

 

一言で言うとどんな映画なの?

わかりやすく述べるならば、「人生を踏み外しそうになっている青年と少女の支えあいの物語」を描いた映画であると言えるでしょう。

 

主人公が教師であり、教え子である少女と触れ合っていくという内容から、GTOのような教師モノを連想する方がいるかもしれませんが、本作はいわゆる学園系の映画ではありません。本作の中心人物は教師と教え子ですが、両者の間はもっと多様な関係性で成り立っています。(詳しくは後述します)

 

どういう人にオススメか?

自分の人生の行く末に悩んでいる方、悪い趣味からなかなか抜け出せない方が共感できる映画だと思います。

 

どんなところが高評価?

主演俳優の繊細で自然な演技

本作の演技により、主演のライアン・ゴズリングは第79回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

 

本作での彼の演技は、ノミネートされて当然と思わせる素晴らしいものです

 

彼が演じた主人公のダンは、ブルックリンの中学校で歴史の教師をしています。テキストを使わずに、生徒との議論を中心にした授業は生徒に人気があります。その一方で、彼はコカイン中毒者であり、アパートや酒場でコカインを吸う毎日を送っています。

 

生徒に人気があり、学校で面白い授業を行っている彼が「陽」だとすれば、薬物に溺れている彼は「陰」ということになります。

 

この「陽」と「陰」を併せ持つ主人公を、ゴズリングは見事に演じ切っています。

 

大作映画では見られない彼のリアルな演技が必見と言えるでしょう。

 

さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

感想

主演男優、主演女優の演技が素晴らしいのはもちろんですが、脚本が非常によくできていて、登場人物のセリフ一つ一つに意味があるように感じました。

 

1.対立要素で構成される人間関係

主人公のダンは、授業で「人種差別」の歴史を教えているのですが、彼は「相反する二つの主張を持った人々によって争いが起こり、1つの物事が起きる」という、彼独自の対立理論を用いて授業を行っています。

 

本作の中心人物は、教師のダンと教え子のドレイですが、両者には「教師」と「生徒」以外にも様々な対立要素があります。以下はその例です。

 

・男性、女性

・大人、子供

・白人、黒人

・薬物中毒者、薬物の売人

 

 

ダンの主張している「対立理論」とリンクするように、彼と教え子のドレイには多くの対立要素があることがわかります。

登場人物の主張と人間関係を関連付けさせる手法は非常に興味深いと思います。

 

また、これら多数の対立要素を持っているからこそ、二人に芽生える奇妙な友情の素晴らしさがいっそう強調されています

 

2.ダンは、何故ドレイから距離を置こうとしたのか

教え子のドレイと徐々に仲良くなっていくダンですが、彼が薬物中毒者であることが、二人の友情を不完全なものにしていました。

 

一方で、ドレイの周囲には、彼女の世話を焼こうとする黒人男性が姿を見せるようになります。

(彼女の服役中の兄が仲良くしていた男のようです。)

ダンは、ドレイの送り迎えをしようとするその男を警戒し、ある日、彼の家に乗り込んで「ドレイに近づかないでくれ」と言い放ちます。しかし、彼はその後相手に言われた一言により、自分が知らず知らずのうちに黒人である相手を差別していたこと、コカイン中毒者である自分の方が、子供にとっては悪影響であることに気が付いたのだと私は思います。

 

そして、彼はドレイから距離を置き、あくまでも教師として彼女と接するようになります。

 

3.ラストの解釈

物語の後半、ダンは職場をクビになり、ドラッグに溺れてしまいます。

 

クビになる直接的な場面はありませんが、彼がドラッグに溺れていることから推測できます。彼自身、完全に薬物に溺れずにいられる理由は「子供たちとの触れ合いがあるから」だと言っていました。自分がまともでいられる唯一の薬である子供たちを奪われた彼は、ドラッグに逃げるしかなかったのでしょう。

 

そして、ドレイは薬の売人である男にそそのかされ、薬の売買の手助けをしてしまいます。そしてついに、ダンがドレイからコカインを買う日が来てしまうのです。

 

「使用者」と「売人」という対立構造が構築され、彼らの対立は決定的になるのではと思われましたが、ドレイは「売人」という誘惑を断ち切り、友人としてダンの元を訪れます。

 

本作は、髭を剃ったダンとドレイが一緒にソファーに座るシーンで幕を閉じます。

 

ダンは教え子を失ってしまいましたが、ドレイという友人を得ることができました。伸びていた髭を剃ったのは、薬物を絶ち、新たな自分へ変わることを意味しているものを思います。

 

薬物に溺れそうになっていた男の再生、薬物を売らない選択をした少女の成長で締めくくる、希望のあるラストであったと言えるでしょう。

 

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アメリカでの公開から、11年が経ってから発売された日本用DVD。

 

ゴズリングが二度目のアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品。

 

 

【紹介×感想】バイオレンスと純愛の融合『ドライヴ』

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ラ・ラ・ランド」、「ブレードランナー 2049」の公開により、グッと認知度が高まった俳優、ライアン・ゴズリング

 

今回は、私が彼に注目することになったきっかけの映画「ドライヴ」の紹介と感想の記事になります。

※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。

 

この映画を形作っているものは、孤独なヒーロー、カーアクション、純愛、美しい映像、バイオレンスです。

特に、孤独でカッコいいヒーローを観たい方にオススメの映画だと思います

 

基本情報

公開年:2011年
上映時間:100分
ジャンル:サスペンス
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ホセイン・アミニ

音楽:クリフ・マルティネス
キャスト:ライアン・ゴズリングキャリー・マリガンブライアン・クランストン、クリスティーナ・ヘンドリックス、ロン・パールマンオスカー・アイザックアルバート・ブルックス


概要

きみに読む物語」「ブルーバレンタイン」のライアン・ゴズリング主演で、昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス。デンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン監督が手がけ、2011年・第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。

(映画.comより)

 

予告編


映画『ドライヴ』予告編

 

ノリスケの評価

全体:★★★★★

脚本:★★★★☆

映像技術:★★★★★

音楽:★★★★★

演出:★★★★☆

編集:★★★☆☆

 

一言で言うとどんな映画なの?

わかりやすく述べるならば、「1人の天才ドライバーが恋人を守るために裏社会と戦う」という内容の映画になると思います。

 

どんなところが高評価?

1.美しいシーンの連続

何といっても特筆すべきはシーンの美しさです。

ロサンゼルスの夜景から、運転するドライバーの姿、アパートの一室に至るまで、

美術的で美しいシーンの連続です。

 

2.主人公のドライバーがたまらなくかっこいい

ライアン・ゴズリングが演じる主人公のドライバー。彼は、自動車工場とスタントマンという仕事のほかに、強盗の逃走専門の運転手という裏の顔を持っています。

強盗の手助けのルールは、「何があっても5分間だけ待ってやるが、それ以上は待たない。」というシンプルなもの。そして、無駄口は叩かず、冷静に警察の追跡を交わし、強盗犯を送り届けます。

パトカーが近づいても、決して慌てずクールに運転するドライバーがたまらなくかっこいいです。

 

3.溢れ出るバイオレンス描写

マンションの隣人であるアイリーンと良い雰囲気になるドライバー。映画の途中まで、ラブロマンスもののような展開を見せますが、アイリーンの夫であるスタンダードが出所してきたことにより、一気にサスペンス成分が多めになります

そして、スタンダードの強盗の手助けをすることになるのですが、そこからはバイオレンス描写があふれ出します。

(いきなり血みどろのオンパレードになるので、初見は本当に驚きます(笑)) 

 

ただ、シーン全体が美しいこともあり、流血シーンは決してグロいものではなく、不思議と芸術的なものに仕上がっています。

 

 

4.主演男優、主演女優の配役がピッタリ

主演男優は「きみに読む物語」で一躍有名になったライアン・ゴズリング。彼は、無口な役や何を考えているかわからない変人を演じたら、とてつもなくその役にハマります(少なくとも、私はそう思っています)。今回、彼が演じた主人公は無口・無表情で飄々としていて、何を考えているわかりにくいところがあります。正統派のヒーローとは少し異なるのですが、ライアン・ゴズリングはドライバーというヒーローに完全に一体化していました。

 

一方、主演女優は「17歳の肖像」で注目されたキャリー・マリガン。彼女が演じたアイリーンは、母性と女性らしさを併せ持つ非常に魅力的な女性として描かれています。撮影当時、彼女はまだ25-26歳だったはずですが、とてもそうは見えない大人の魅力を放っています。

 

「ドライヴ」の主演は、この二人しかありえないと思うほど、見事に役にハマっていると言えるでしょう。

 

さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。

 

感想

 

この映画、私は大好きで何度も見ているのですが、とにかくライアン・ゴズリング演じるドライバーが魅力的で仕方がありません。

 

無表情で、クールなところもカッコいいのですが、彼は様々な一面をもつ奇妙なヒーロー像を持っていると思います。 

 

例えば、恋人のアイリーンと一緒にアパートのエレベーターに乗ったところ、自分の命を狙う男と遭遇するシーンがありますよね。

彼は、男が自分の敵であることをすぐに見抜くのですが、エレベーターを降りずに、その場でアイリーンにキスをします。

そして、キスが終わると同時に男に掴みかかり、何度も何度も男の顔を蹴り倒します。しかも、男の顔がつぶれてしまうほどに。

彼のあまりの暴力っぷりに、さすがのアイリーンも引いてしまうのです。。。

 

このように、彼はただカッコいいだけではなく、普通の人間とは異なる常軌を逸した一面を持つ人間として描写されているのです。

 

試しに、時系列順に彼の様々な一面を列挙してみましょう。

 

・顔色一つ変えずに追っ手を撒く凄腕ドライバー

・危険な撮影をこなす凄腕スタントマン

・寡黙な自動車整備士

・近隣住民に親切な青年

・子供とすぐに仲良くなる青年

・恋人のために、その主人を救おうとする優しい青年

・ハメられたとわかると、相手に容赦ない暴力を振るう青年

・殺し屋を全て返り討ちにする青年

・黒幕を殺し、どこかへ旅立つ青年

 

本作は、ラブロマンス映画と思わせておきながら、バイオレンス描写満載の暴力映画に変貌していくという奇妙さがあります。

その奇妙さの中心に、主人公であるドライバーがいるのです。

 

終盤、彼はいわゆる「無双」状態になり、自分をハメた黒幕たちを皆殺しにします。しかし、彼は勝利と引き換えに恋人であるアイリーンとその子供ベニシオとの生活を失います。

勝負に勝っても、残ったものは何もない。彼の強靭さと相まって、その事実が痛烈に見るものを締め付けます。

物語としてはバッドエンドなのかもしれませんが、孤独に旅立つドライバーが魅力的に映るのも事実です。

 

この奇妙な役を演じたライアン・ゴズリング。変人を演じれば光る彼だからこそ、ここまで魅力的な主人公が出来上がったのだと思います。

 

名作映画「ドライヴ」。これからも幾度となく見ていく作品になるでしょう。

 

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 レフン監督とゴズリングが二度目のタッグを組んだ奇妙な映画「オンリー・ゴッド」。

【感想:ネタバレ有】ブレードランナー 2049

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さて、今回はドゥニ・ビルヌーブ監督の「ブレードランナー 2049」の感想記事になります。ネタバレありの内容になりますので、未視聴の方はブラウザバックをお願いします。

 

ネタバレなしの紹介記事を書いておりますので、よろしければこちらをどうぞ。

www.norirog.com

 

 

 

1.感想

そもそもあまり期待していなかったというところがありますが、名作SF映画の続編としては申し分ない出来ではないかと思います。

 

前作があまりに衝撃的な内容であったため、続編である本作には目新しさはあまりありませんが、前作の世界観を違和感なく再現できている点が良いと思いました

 

また、酸性雨の降りしきるロサンゼルスとは対照的に描かれた、デッカードが潜む放射能汚染地帯。

時代が止まってしまった世界が幻想的に描かれていて、その美しさに思わず見入ってしまいました。

 

そして、重厚なサウンドも世界観にマッチしていて非常に良かったです。

 

問題はストーリーなのですが、主人公のKに感情移入できるかどうかがポイントだと思いました。

Kは新型のレプリカントで口数も少なく、自分の感情を表に出すことが多くありません。彼が何を考えているかがわかりにくいので、感情移入は少し難しいように思います。

 

そこで、彼の気持ちをアレコレと想像してみました。

 

1-1.Kはどのようなレプリカントなのか

彼の立場でストーリーを解釈するために、まずは彼がどのようなレプリカントであるかを整理したいと思いますが、本作では彼がどんな仕様であるかの直接的な説明がありません。

 

あくまで想像ですが、物語の随所に垣間見えたものから、下記のような能力があるのではないかと思います。

 

  • 一部のネクサス8型を超える格闘能力を持つ
  • 人間に嘘をつくことができる
  • 人間を傷つけることもできる
  • セックスができる(性欲がある)

 

人間に従順なレプリカントとして、ブレードランナーの職についていますが、言動はほとんど人間と変わりません。激高することもあり、しっかりと感情があります。

 

一方で、彼は任務の後に「基礎テスト」を受けなければならず、脳内物質(?)が不安定であると、任務不適合とみなされ、停職の対象になります。

※任務不適合期間が長くなると、廃棄の対象になるのかもしれません。

 

彼の世代のレプリカントが特別に優れている(安全である)のではなく、人間に危害を加えるレプリカントを排除するようなレプリカントの管理システムが優れている、と述べた方が正しいのかもしれません。

 

1-2.Kの望みは何か

“人もどき”と人間に蔑まれながらも、任務を淡々とこなしていくK。彼の望みは何なのでしょうか。

 

私は、彼は心の奥底では、人間が持っていてレプリカントである自分が持っていないものを欲していたのではないかと考えていました。

 

彼が人間と異なる点は、「本物の記憶を持たないこと」と「生みの親を持たないこと」です。

サッパーやデッカードとの出会いを通じ、彼は自分の望みに少しずつ気が付いていったのではないでしょうか。

自分の記憶が作り物ではないことを知ったとき、彼はひどく動揺しますが、最終的に自分がデッカードの子供ではないことを知ると、彼はひどく落胆しています。

(今まで俺は何をしてきたんだーッ!って気持ちかも知れませんが(笑))

 

厳重に管理されている以上、今の現状に疑問を持つことや、自分の欲望を知ることができなかったのかもしれません。

 

1-3.真実を知ってなお、デッカードを助けるKがカッコいい

真実を知って落胆するKですが、それでもなお、彼はデッカードを助けに行きます。ラストシーンは泥臭くもあるのですが、傷ついてもなおデッカードを助けに行くKが本当にカッコいいです。

 

自分の父親でない以上、彼にとってデッカードは赤の他人であるはずなのですが、それでも助けに行く。

 

これをヒーローと言わずして何と言うのでしょう。

 

彼の「木馬の記憶」はステリンの記憶でしたが、彼にとってステリンは赤の他人ではなく、記憶を共有した兄弟のような存在になっていたのかもしれません。

 

2.まとめ

ブレードランナー 2049」、皆さんはどのような感想を持ちましたか?

デッカードを演じるハリソン・フォードの活躍を期待していた人は、少々物足りない内容だったかと思いますが、私のようなライアン・ゴズリング大好き人間にとっては、とても満足できる内容だったかと思います。

 

前作はデッカードの視点からレプリカントの悲しい運命を描く内容でしたが、今回は主人公さえもレプリカントになり、人間ではなく、レプリカント中心のストーリーになりました。

そのため、やや感情移入しにくく感じる点がありましたので、ブルーレイが出たら再視聴してもう一度整理してみたいと思います。

 

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