【紹介×感想】ゾンビ映画の原点『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』
こんにちは、ノリスケです。
今回紹介する映画は、ゾンビ映画の古典的名作である『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』です。
ゾンビ映画の生みの親であるジョージ・A・ロメロ監督の作品で、本作と『ゾンビ』、『死霊のえじき』を合わせた三作が「ロメロのゾンビ映画三部作」と呼ばれています、
ゾンビ映画好きならば必ず見ておくべき名作中の名作なのですが、白黒映画と言うこともあり、なかなか手が出ず、今日まで未見のままでした・・・。
やっとのことで観ましたが、名作と言われるだけあって、やっぱり面白いですねぇ~。
ざっくりとですが、本作の紹介と感想を書いていきたいと思います。
※ページ下部の感想にネタバレがあるので注意してください。
基本情報
製作年:1968年
上映時間:96分
ジャンル:ホラー
監督:ジョージ・A・ロメロ
キャスト:デュアン・ジョーンズ、ジュディス・オディア、カール・ハードマン、マリリン・イーストマン、キース・ウェイン
概要
墓参りにやってきた兄妹ジョージとバーバラ。そんなふたりに、甦った死体が襲いかかる。ジョージは格闘の末に死亡し、近くの家に逃げ込んだバーバラは他の避難者たちと合流する。しかし一行は死者の襲撃を前にしながら対立。ゾンビの群れは容赦なく押し寄せてくるが……。緩慢な動きながら、生者を襲うことで限りなく増殖し続け、脳を破壊しない限り滅びないゾンビ、そしてその襲撃に立ち向かう人々を描いたホラーシリーズ第1作。製作時の社会・世相を反映した物語はそのたびに恐怖と衝撃を呼んでいる。
予告編
【ゾンビ】ナイトオブザリビングデッド Night of the Living Dead 【ロメロ】
ノリスケの評価
100点満点中 80点
全体:★★★★☆
脚本:★★★★☆
映像技術:★★★☆☆
音楽:★★★★☆
演出:★★★★☆
編集:★★☆☆☆
一言で言うとどんな映画なの?
蘇った死体(リビングデッド)から逃れるために、一軒家に立てこもった人々。密室における人間同士の対立をストーリーの主軸にし、リビングデッドとの攻防を描いた映画になります。
ある日、兄妹のジョージとバーバラは父親の墓参りのために墓所を訪れます。墓所にはもう一人男性がいて、彼らはてっきり墓参りに来ている人だと勘違いするのですが、実は墓場から蘇ったリビングデッドが歩き出していたのです。
妹のバーバラは、近くの民家に逃げ込むことに成功します。
彼女と同様に、何人かの人間が民家に避難してくるのですが、リビングデッドへの対処法を巡り、避難者同士が対立を始めます。
民家に迫りくるリビングデッドも怖いのですが、密室で一触即発状態になっている人間同士の方がもっと怖い。そんな印象を抱かせる映画になっています。
どういう人にオススメか?
言わずもがな、ゾンビ映画大好き!ホラー映画大好き!という方にはお勧めできる(と言うか、見ておくべき)映画でしょう。
反対に、グロ系が苦手な方は避けたほうが良い映画だと思います。
モノクロ映画なので、血の描写はハードではありませんが、人体破壊、カニバリズムなどの要素が多めになっているからです。
そして、モノクロ映画と言うことで、自分も視聴を敬遠していたのですが、実際に見てみるとそんなことは全く気になりません。
むしろ、モノクロの方が陰影がはっきりと出ていて、妙にリアルというか、本物っぽいというか、良い意味でわざとらしくない映像に仕上がっているような気がしました。
さて、ここからは、ネタバレ有の本編の感想になりますので、未視聴の方はご注意ください。
感想
中盤からの盛り上がりが凄まじい
物語の序盤は退屈に感じましたが、中盤~終盤にかけての盛り上がりが良いですね。
特に、一軒家に隠れた避難者同士の対立が明確になる中盤以降は、対ゾンビの恐怖に併せて対人間の不信感がプラスされ、見るものの不安感をより一層駆り立てます。
ゾンビ映画と言えば、人間同士の対立が定番中の定番なのですが、その要素は古典作品である本作で既に取り入れられていたことがわかります。
現代のゾンビ映画との違い
意外だったことは、死者たちが思いのほか弱かったことです。
力のある大人であれば、格闘をして倒すこともできますし、歩く速度が遅いため、銃を使えば簡単に殺すことができます。
その一方、死者たちの不気味さは現代ゾンビ映画に比べて本作の方が勝っているように思いました。
特筆すべきは、カニバリズム(人食行動)、肉体破壊描写の多さです。
死者たちは、腕が取れていたり、脳みそが飛び出していたりして、体のどこかしかが破損しています。
そして、人間を殺し、その身体を食べようとします。
このような描写は、現代のゾンビ映画には見られません。
現代のゾンビ映画におけるゾンビが、何らかの菌によって人間が変貌した存在である「感染者」であるのに対して、本作におけるリビングデッドは、あくまで「動き出した死体」であることが、現代のゾンビ映画と本作の大きな違いであると言えるでしょう。
緊迫する一方で、緩さもある
ゾンビ映画と言えば、緊迫した状況である一方で、どこか緩いテンションが
介入してくるのが定番です。
本作では、一軒家に立てこもった人々の緊迫した状況が描かれる一方で、死者たちを討伐する人々の楽しげにも見える風景が映し出されます。
死者が蘇って動き出すという「非日常」の物語の中に、緩くも見える人々の対応を重ね合わせることによって、非日常を限りなくリアルに見せることに成功しているのだと思います。
(映画全体がドキュメンタリータッチになっていることも、リアルさを際立たせる一因になっていると思います。)
まとめ
ゾンビ映画の元祖だからと言って、面白いとは限らないと思っていたのですが、ゾンビたちの不気味さは現代のゾンビ映画を凌駕していました。
最近のゾンビ映画は、怖いというよりも驚きの要素が強いように思っていたのですが、本作はおどろおどろしく、静かで陰鬱な怖さが際立っています。
ホラー映画好きであれば、真っ先に見るべき映画の一つであると言えるでしょう。
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