【感想:ネタバレ有】ブレードランナー 2049
さて、今回はドゥニ・ビルヌーブ監督の「ブレードランナー 2049」の感想記事になります。ネタバレありの内容になりますので、未視聴の方はブラウザバックをお願いします。
ネタバレなしの紹介記事を書いておりますので、よろしければこちらをどうぞ。
1.感想
そもそもあまり期待していなかったというところがありますが、名作SF映画の続編としては申し分ない出来ではないかと思います。
前作があまりに衝撃的な内容であったため、続編である本作には目新しさはあまりありませんが、前作の世界観を違和感なく再現できている点が良いと思いました。
また、酸性雨の降りしきるロサンゼルスとは対照的に描かれた、デッカードが潜む放射能汚染地帯。
時代が止まってしまった世界が幻想的に描かれていて、その美しさに思わず見入ってしまいました。
そして、重厚なサウンドも世界観にマッチしていて非常に良かったです。
問題はストーリーなのですが、主人公のKに感情移入できるかどうかがポイントだと思いました。
Kは新型のレプリカントで口数も少なく、自分の感情を表に出すことが多くありません。彼が何を考えているかがわかりにくいので、感情移入は少し難しいように思います。
そこで、彼の気持ちをアレコレと想像してみました。
1-1.Kはどのようなレプリカントなのか
彼の立場でストーリーを解釈するために、まずは彼がどのようなレプリカントであるかを整理したいと思いますが、本作では彼がどんな仕様であるかの直接的な説明がありません。
あくまで想像ですが、物語の随所に垣間見えたものから、下記のような能力があるのではないかと思います。
- 一部のネクサス8型を超える格闘能力を持つ
- 人間に嘘をつくことができる
- 人間を傷つけることもできる
- セックスができる(性欲がある)
人間に従順なレプリカントとして、ブレードランナーの職についていますが、言動はほとんど人間と変わりません。激高することもあり、しっかりと感情があります。
一方で、彼は任務の後に「基礎テスト」を受けなければならず、脳内物質(?)が不安定であると、任務不適合とみなされ、停職の対象になります。
※任務不適合期間が長くなると、廃棄の対象になるのかもしれません。
彼の世代のレプリカントが特別に優れている(安全である)のではなく、人間に危害を加えるレプリカントを排除するようなレプリカントの管理システムが優れている、と述べた方が正しいのかもしれません。
1-2.Kの望みは何か
“人もどき”と人間に蔑まれながらも、任務を淡々とこなしていくK。彼の望みは何なのでしょうか。
私は、彼は心の奥底では、人間が持っていてレプリカントである自分が持っていないものを欲していたのではないかと考えていました。
彼が人間と異なる点は、「本物の記憶を持たないこと」と「生みの親を持たないこと」です。
サッパーやデッカードとの出会いを通じ、彼は自分の望みに少しずつ気が付いていったのではないでしょうか。
自分の記憶が作り物ではないことを知ったとき、彼はひどく動揺しますが、最終的に自分がデッカードの子供ではないことを知ると、彼はひどく落胆しています。
(今まで俺は何をしてきたんだーッ!って気持ちかも知れませんが(笑))
厳重に管理されている以上、今の現状に疑問を持つことや、自分の欲望を知ることができなかったのかもしれません。
1-3.真実を知ってなお、デッカードを助けるKがカッコいい
真実を知って落胆するKですが、それでもなお、彼はデッカードを助けに行きます。ラストシーンは泥臭くもあるのですが、傷ついてもなおデッカードを助けに行くKが本当にカッコいいです。
自分の父親でない以上、彼にとってデッカードは赤の他人であるはずなのですが、それでも助けに行く。
これをヒーローと言わずして何と言うのでしょう。
彼の「木馬の記憶」はステリンの記憶でしたが、彼にとってステリンは赤の他人ではなく、記憶を共有した兄弟のような存在になっていたのかもしれません。
2.まとめ
「ブレードランナー 2049」、皆さんはどのような感想を持ちましたか?
デッカードを演じるハリソン・フォードの活躍を期待していた人は、少々物足りない内容だったかと思いますが、私のようなライアン・ゴズリング大好き人間にとっては、とても満足できる内容だったかと思います。
前作はデッカードの視点からレプリカントの悲しい運命を描く内容でしたが、今回は主人公さえもレプリカントになり、人間ではなく、レプリカント中心のストーリーになりました。
そのため、やや感情移入しにくく感じる点がありましたので、ブルーレイが出たら再視聴してもう一度整理してみたいと思います。
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