【感想】リアルなウイルス感染症を描く!「アウトブレイク」
※以下、映画のあらすじ、ネタバレを含みますのでご注意ください。
※個人的な感想を多分に含む駄文であることをご承知おきください。
90年代のアメリカ映画に良作が多いと感じるのは自分だけでしょうか。
今回紹介する「アウトブレイク」は、1995年制作のアメリカ映画で、間違いなく良作に分類されます。俳優陣も、ダスティン・ホフマン、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシーと豪華な顔ぶれです。・・・私の大好物ばかりですね。
ただ正直なところ、実際に見てみるまでは、アウトブレイクって「28日後」とか、「アイ・アム・レジェンド」みたいにウイルスの蔓延によって荒廃した世界が舞台なのかと思っていました(実際に見ていたら、全く違ってました(笑))。この映画は、エボラ出血熱などに代表される非常に致死率の高いウイルスをどのように封じ込めるのか(感染を食い止めるのか)という点に焦点を当てた映画です。
てっきり、こんな町が舞台なのかと・・・。勘違いしてる映画って多いですよね(笑)
~あらすじ~
カリフォルニア州のシーダー・クリークという田舎町で、致死率の高い謎の伝染病が発生した。米国陸軍伝染病医学研究所に勤めるサム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)はいち早く現場に到着し、最初の患者の感染源となったホスト(動物)が何であるかを調べ始める。実は、この伝染病を媒介する「モターバ・ウイルス」には、陸軍のある重要機密が関わっていた。ウイルスの感染を食い止めるため、陸軍は完全に町を封鎖するが、住民の感染者は増大する一方であった。
評価
★★★★☆
~リアルな演出~
冒頭にも書いたように、私はこの映画を、世界に広まった感染病を食い止めるため、ダスティン・ホフマンが世界中を駆け巡る映画だと思っていました。どんな映画も見てみないとわからないってことなのですが、この映画で描いているのは、一つの小さな町で発生した感染病を、如何にして外に出さないかということに尽きます(世界に蔓延した段階で、もはや手遅れですので)。正体不明の感染病が発生した場合に、アメリカがどのような対応をとるのかについて、結構リアルに描いているように思いました。
本作で感染者が発生したのは、シーダー・クリークという田舎町です。まずアメリカ陸軍が取った行動は、感染者(症状が出た者)の隔離と住民(感染の疑いがある者)が町の外へ出ないように道路を封鎖することです。町の封鎖というのも言葉だけではなく、どんなことをしても一人も外には出さないという断固としたものでした。
例えば、ある家族が封鎖を突破しようと、軍の静止を無視して森の中に車を走らせようとします。町では原因不明の奇病が発生しているので、一刻も早く町の外に出たいという気持ちが痛いほどわかります。しかし、感染のリスクがある住民を町の外に出すわけにはいかないため、ヘリが出動して車を食い止めます。「威嚇射撃で車を止めるんだろう」と思っていたら、なんと車に向けて実弾を放ち、車を燃やしてしまいます。これは、大多数(国民)のために少数(町民)を犠牲にするという、ある種非情な行いのように見えます。しかし、実際にこのようなバイオハザードが起こった際に行われるのは、このような少数犠牲的行為ではないでしょうか。そのようなリアルから逃げず、真っ向から描いているという点が、本作が単なるパニック映画にならないポイントだと思います。最終的には、国民を守るために町に爆弾を投下するという選択が取られることになります。
町から出ようとすると、兵士に包囲されちゃいます。
~全体のバランスの良さ~
感染症のリアルな表現という以外で本作を評価するならば、非常にストーリーのバランスが良いというところが挙げられます。感染によって多数の人々が死んでいくのは非常に重い話なのですが、ウイルスのホストを見つける過程は、アメリカ映画のご都合的な流れが垣間見え、見ている側をちょっと救ってくれます。ラストも、ハッピーエンドで終わりますし。町の封じ込め、ホスト探し、ヘリの戦闘、軍部の暗躍、夫と妻の復縁、可愛いサル、などなど、とても多くの内容が盛り込まれているのですが、とてもバランスがよく、良質な娯楽映画として消化できる内容です。
1995年といえば、セブン、ユージュアル・サスペクツの演技でケヴィン・スペイシーが非常に注目された年でした。それに比べれば、本作のスペイシーはとても「普通な」役ですね。
~関連商品~
謎のウイルスの発生から28日後のロンドンを舞台にしたゾンビ映画。冒頭の、人っ子一人いないロンドンの風景に引き込まれる。
自分以外の人間がすべて感染者となった町で暮らす男を描いたゾンビ映画。もし、町で自分ひとりだったらこんなことをしてみたいなァーっていう男の夢が詰まっている。
緻密な脚本、ラストのどんでん返しが素晴らしい名作サスペンス映画。ケヴィン・スペイシー好きにはたまらない。