【感想】「山猫は眠らない」というのは本当でしょうか?
※以下、映画のあらすじ・ネタバレを含みますのでご注意ください。
聞くところによると、山猫って普通の猫と違ってあまり眠らないんですよね(大ウソ)。
本日観た映画は、山猫が全く出てこない「山猫は眠らない」(原題:Sniper)というジャングルで戦うアメリカの狙撃手を描いた映画です。
今まで全く知らなかったんですが、続編合わせて計5作も作られている映画なんですね。ランボー以上に続編がつくられるということはさぞかし面白いに違いない・・・!と期待十分で鑑賞しました!
~あらすじ~
トーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)はアメリカ海兵隊に所属する狙撃手。南米の幾多の戦闘で生き残ってきた彼であったが、何人もの部下を失ってきた事実に苦しんでいた。そんな折、司令部から新たな暗殺の指令を受けることになったが、彼の元に派遣されてきたのは、腕は一流だが戦闘経験が全くない狙撃手リチャード・ミラー(ビリー・ゼイン)であった。自分の腕に自信を持っているミラーは、経験豊富なベケットの忠告を度々無視してしまう。
~評価~
★★★☆☆
つまらない映画ではないです。ただ、何度も見たくなるような面白い映画でもないです。アクションシーンも充分見ごたえのある内容なのですが、特筆してすごいと思うシーンはあまりありませんでした。
アクション映画というよりも、本作は「リアルな狙撃手」を淡々と描いた作品と評したほうがしっくりくると思います。
~狙撃手のリアル~
リアルな狙撃手を描いた映画では、「アメリカン・スナイパー」がありますね。あの映画は、イラク戦争を経験したアメリカ人狙撃手の実体験を基に作られた映画なので、日常と戦闘を交互に繰り返す兵士の苦悩を中心に描いています。
本作の舞台となるのは、南米のジャングル。そこに潜入した二人の狙撃手が、どのようにしてターゲットを暗殺するのかについて、無駄な描写を省いて淡々と描いています。国のためであるとか、正義だ悪だとかいうメッセージはなく、狙撃=仕事とする男の技術に焦点を当てた映画ではないでしょうか。
唐突ですが、暗殺=仕事を描いたマイケル・マン監督の「コラテラル」の予告です。
狙撃手について私はほとんど何も知りませんが、以下のシーンが特に印象に残りました。
冒頭のヘリのシーン
助けに来たヘリに向かって、ベケットが「どうして昼間に来るんだ!敵に見つかるだろうが!」と怒鳴ったのを聞いて、確かにヘリは目立つし、敵陣に昼に助けに来るのはリスクが大きすぎる。。。と思いました。こういう点について、これまで考えたことなかったですね。
敵狙撃手との駆け引き
「もぉ~疲れた、ムニャムニャ・・・」と眠ってしまったミラーを餌にして、敵狙撃手を返り討ちにするシーン。ナイフを使って水に波紋を作り、そちらに気を取られた敵を撃つ!スナイパー同士の駆け引きっていいですよね~。
屋敷周辺への潜入シーン
どうやって狙撃に適したポイントまで近づくのかなーと思っていたら、牧草に化けて少しずつ匍匐前進していくという(笑)。しかも、全然気づかれない(笑)。さらに、家畜の糞を自分に引き寄せて番犬の鼻をごまかすという戦法も駆使していました。
この写真のどこかにベケットが隠れています。
~上司と部下~
この映画は、「上司+部下」のコンビが難題を解決するというバディムビーとしても位置付けられます。中々相いれない二人が、最後には敵を倒してお互いを理解し合うというのがこの手のジャンルのお約束であり、本作もその枠を越えてはいません。
ベケットが超経験豊富で非常に優秀であることは、彼の戦闘や情報収集力から伝わってきます。対するミラーはジャングルに入りたての頃は足元もおぼつかなく、頼りないエリート候補生であることが伝わってきます。「ベケットは確かに凄いけど、ミラーが頼りないなー。本当に二人でミッション達成できるわけ!?」という気持ちになるのも仕方ありません。
意見の対立もあって、中々息の合わない二人でしたが、最終的には和解します。
ただし、敵に捕まったベケットをミラーが助けにいくという、ベタベタすぎる展開で・・・。しかも、ラストの戦闘シーンが作中で一番緊張感がなくて、普通(笑)。これが戦闘のリアルなのだと言ってしまえば、そうなのかもしれませんが・・・このラストによって、自分の中では面白い映画にはなりませんでした。
~どぉでも良い情報~
リチャード・ミラーを演じたビリー・ゼインさん。どっかで見た顔だなと思ったら、バック・トゥ・ザ・フューチャーに端役で出てましたね。
~関連商品~
イラク戦争を経験した狙撃手の自伝を基に作られた映画。度重なる戦闘への参加によって、日常生活に支障をきたしていく狙撃手の姿が描かれる。
ベトナム戦争に従事するアメリカ兵を描いた映画。ベケットを演じたトム・べレンジャーは、冷酷な軍曹バーンズの演技が高く評価され、ゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞した。